最近になって、アスベスト(石綿)による健康被害が続々と明らかになっている。7月12日時点の読売新聞の記事によると、アスベストが原因と思われる全国の死亡者数が、28社、382人にのぼるという。
アスベストとは、天然に産する繊維状鉱物のことで、石綿とも呼ばれる。耐熱性、耐摩耗性、耐腐食性、防音性、吸湿性などに優れるため、第二次世界大戦後から普及し、高級住宅や高層ビルなどに断熱、防音目的で壁に吹き付けたり、屋根瓦などにも利用された。
しかし、昭和30年代からアスベストの人体への影響が指摘され始めた。すなわち、「中皮腫」というがんの一種の原因がアスベストであると疑われはじめ、昭和40年代後半にはその因果関係がはっきり分かってきた。その他でも肺がんやじん肺などにも影響していることが調査の結果分かってきた。
ハリウッドスターの故スティーブ・マックイーンもアスベストを利用したレース服からがんを発病し、死亡したといわれている。
昭和46年には労働省(当時)が「特定化学物質等障害予防規則」を定めてアスベストを使わないようにしようとしたが、その利便性ゆえに使用に歯止めは掛からなかった。
今後問題とされるのは、アスベストが広く使われていた時代のビルなどが建て替えの時期をむかえ、その解体の際にアスベストが飛散し、作業員のみならず一般の人にも被害が及ぶのではないかということである。中皮腫は、アスベストを吸引後20?40年潜伏した後に発病するため、健康被害拡大防止には中皮腫を早期に診断できる医療機関を増やしたり、治療できる環境の整備が重要である。
しかし、この国の対策は事が起こってしまわないと行政はほとんど動かないのが現状である。もっと積極的に調査して対策を施せば、ここまで大きな問題にはならなかったように思うのである。これは日本の行政のすべてにおいて言えることではないだろうか。もっと国民の立場に立った行政を行ってくれることを願ってやまない。
■関連サイト
・アスベストに関する基礎知識―東京都環境局
・石綿による健康影響関係のQ&A―日本石綿協会
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