クマ冬眠を人工的に

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126.jpg 最近のニュースでほのぼのとした話題を見つけた。それは東京・上野動物園でツキノワグマを人工的に冬眠(冬ごもり)させ展示するという。これは世界的にも例のない試みである。

 本来、ツキノワグマは本州に生息し、胸に白い三日月模様を持っていることからこの名が付けられた。通常ツキノワグマが住む環境は落葉広葉樹林が最適といわれている。それは1年を通じて供給できる食べ物(山葡萄、木苺、ミズナラなど)があり、秋の冬眠時にはどんぐりなどの堅果類の実を大量に食べられるからである。種類に関わらずクマは冬眠するが、ホッキョクグマだけは例外である。ただし、ホッキョクグマでも妊娠したメスは冬眠するという。

他の動物ではシマリスやコウモリなども冬眠をするが、クマと違いこれらは冬眠中に蓄えた食物を口にしたり水分を食べたりし、排泄も行なう。
 さて、今回試みるツキノワグマの人工的冬眠は室温を徐々に下げ餌も減らして本来の冬眠の姿に近づけるものであるが、問題は果たして眠ってくれるかである。冬眠前にはクマが好きな栗やどんぐりをふんだんに与えて脂肪を蓄えさせて太らせる。また、自然界の太陽光に合わせて明るさもうまく調節するという。通常クマが冬眠に入る11月後半頃には水だけしか摂取させない。その時はのぞき窓だけ設けて真っ暗な小さな部屋で来年の4月頃まで冬眠させる。ただ、衰弱や餓死の心配があるので、睡眠中の体温や呼吸、心拍数をチェックする予定ではあるが、クマはわずかな音や刺激でも目が覚めるのでどうしたらいいか検討中だそうだ。動物園では来場者に見せるためカメラのフラッシュ、振動、騒音が睡眠の妨げにならないよう、二重の防音ガラスを用いたりするという。クマの冬眠は母グマにとっては胎児を成長させる重要な期間なので、うまく冬眠しないと未熟児が生まれたり死んだりするという。過去に東北の動物園で冬期閉園中自然の中でクマを冬眠させた例はあるが、今回のように人工的に行なうのは初めてである。それも展示しながらやるのは画期的なことである。

 ここ数年、私の郷里富山県でもツキノワグマが民家の近くに出没し、畑の作物を食べつくしたり人間を襲ったりして問題になっている。今回の実験に使う2頭のうち補欠候補の4ヶ月のオス「タロウ」は、私の郷里で親が猟銃で撃たれて保護された小グマである。ともかく動物は近年動物本来の生態からかけ離れているように思うので、もっと自然界に近づけようとする今回の冬眠実験は、ある意味素晴らしい試みである。私はこの夏アフリカに行ってきたが、アフリカでは動物に対して保護区を設け自然界の中で野生として育てようとしている。人間もあまりにも人工化しすぎたため、野生の力を失っている。もっと自然的な見方をするのも大切ではないか。今回の実験はその意味では人間に何かを提言しているように思う。

Drの四方山日記(126)

2009年6月

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