小児・思春期に多いトゥレット症候群

K03.jpg 自分の意志と関係なく、突然叫び声を上げたり、顔をしかめたりする「トゥレット症候群・Tourette Disease」が子供たちの間で増えてきている。
この症候群は最近注目されているチック症の一つで脳内の神経伝達物質の異常によるものではないかという云われているが、はっきりした原因が分かっていない。


トゥレット症候群は自分の意志と無関係に、まばたき、首振り、人に触る行為をする運動チックと、のどや鼻を鳴らしたり、咳払い、急に叫ぶ音声チックの2種類を主症状とする。

通常は幼少期に発症するもので平均年齢は7歳前後とされ、ほとんどの場合14歳までに発症する。発症時まばたきなどの目の運動から始まり、次に頭や顔の運動チックが出てくる。最初から音声チックは発症することは少ないようである。また遺伝性についてはないようである。

そういえば今から23年前お母さんに連れられて、当時13歳の中学生に当たる男の子が来院した。彼はチック症であり、待合室に待っている時から落ち着きがなく、急に奇声を発したり、自分で自分の左手で右の額を叩いたりしていたのを覚えている。彼の場合は初診時から運動チックが強く、突然かんしゃくを起こしたり動き回ったりして私を含めた周りのスタッフは大変だった。治療は主にコミュニケーションをとることを重視し、握手をしながら私の親指で相手の手の硬さを確かめたり、指で信号を送って相手にこちらの気持ちを伝えることから始めた。約2年間定期的に診た。この子も発症している原因がどうも家庭にあるのではないかと当時は考えた。その理由は母親が非常に優しいのに父親は何かにつけて厳しく、ちょっとミスをすると容赦なく怒ることが彼の病気をより悪化させていたと私は思っていた。確かにこのことは原因の1つではあるが、そればかりではなかった。

ある日院内のBGMが突然おかしくなりものすごいキーキーした音を発した。すると治療で横たわっていた彼が突然発狂した。それはどうも彼にこういう症状をつくった原因であるようだ。つまり音声が原因のチックであるということが分かった。それ以来音による治療を加えたらおだやかになり日常の生活がある程度できるようになってきた。これはチック症でもトゥレット症候群の一種だったものではないだろうか。確かにこの症候群は治癒は難しいとされ世界の名立たる医学者も臨床研究に専念しているが、なかなか解決の糸口がつかめない。日本でもNPO法人「日本トゥレット協会」という組織があり活動しているようだ。このような症候群はまさに現代病の1つであるかもしれない。
参考文献:『小児科学』医学書院 『今日の小児診断指針』医学書院 毎日新聞

健康コラム

2009年6月

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