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この時期になると、1年の疲れを取るため温泉にでも入りたいなあという心境に不思議にさせられる。
先日来よりマスコミで流れているニュースに次のことがある。
それは破格待遇で『温泉救世主』公募というものであった。観光客の減少に悩む静岡県の東伊豆にある稲取温泉協会が全国から総合プロデューサー的事務局長を公募したところ、なんと400件を超える問い合わせが殺到したという。
なぜこの不景気にこれだけの応募があったのかというと理由は「年収700万、成功報酬100万、庭付き1戸建て無償提供」にある。稲取温泉に関わらず全国の温泉街はさびれ、なかなか観光客が来てくれないという状況に追い込まれている。そこでどこよりも早く稲取温泉が“町の活性化と観光客の誘致”を展開したものだ。この温泉はピーク時の90年頃は年間約82万人訪れた宿泊客も、今では約48万人にまで落ち込んだ。旅館も32件あったが、現在では23件にまで減少している。そのためもう一度最盛期の夢を見るべき温泉にするため観光客目線で働ける人材募集となった。
この応募には年齢、性別、学歴は不問であるが、決めるための条件に採用試験がある。それは400字詰め原稿用紙に1000字以内の自己アピール文、2000字以内の論文が通ることが必要である。書類審査をパスすると次にグループ面接、ここでは“飲み会面接”を行なうという。また、一番の条件は「東伊豆に居住できること」である。過去の経歴や学歴は必要なく、実力主義を貫くところにこの公募の意味があるようだ。
稲取といえば伊豆の中でも温暖な気候で、海が美しく潮風を直接肌に感じられるなど素晴らしいところでもあり、私も稲取の温泉には過去に何度となく訪れたことがある。稲取は風光明媚だけでなく日本一の味を誇る金目鯛の水揚げや魚介類、特にアワビなどの食材を扱った料理は絶品である。またこの温泉町は「雛のつるし飾りまつり」や家庭の円満や子供に恵まれることを願う「どんつく祭り」で有名である。この時期になると毎年20万人を超える観光客が集まるという。
ともかく伊豆温泉に関わらず、全国の温泉町はどこも観光客の減少から温泉町の活性化や町おこしを狙っていろいろなイベントやアイディアを駆使して観光客の誘致を行なっている。例えば長野県の恵那峡温泉の“温泉入浴と遊覧船によるバードウォッチング”を低料金で提供するところや、大分県別府市ではオンパクタウンに長期滞在型の宿泊施設を建設したり、大正期から昭和初期の建物を生かして改築する商店街の中に温泉神社をつくるなど、いろいろな試みがなされている。
果たしてこのような構想によって温泉町に活気が戻ってくるのだろうか。何はともあれ日本人の温泉好きに変わりはないのだから、焦らずいろいろな試みにトライして欲しいものである。
Drの四方山日記(196)
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