S40.jpg28日付米国の有力紙・ワシントンポストに驚くべき記事があった。それは、メリーランド州で先月末、貧しい黒人の少年(12歳)が、虫歯のバイ菌が脳に回り2度の手術のかいもなく死亡したというものだ。
貧しいが上にまともな治療を受けることができず今回のような悲劇をもたらした。確かに米国は先進国であるが経済の内情は厳しく、格差社会、特に所得格差は年々拡大し、今日では白人層と有色人種および黒人層の生活があまりにも広がりすぎて、まともに医療すら受けることができない状況に陥っている。

確かに米国の医療は日本の医療よりも進歩していて、それを上流階級や中流階級まではまともに医療サービスを受けることができるが、低所得者は最低限の医療すら受けられない現実がある。それが今回の黒人少年の悲劇につながった。
たった80ドルのお金があれば抜歯ができ彼を救うことができたのに、定職のない母親は無保険で、低所得者向けの「Medicaid・メディケイド」(低額所得者のための国民医療保険制度)に加入していたにも関わらず失効させていた。
米国には日本のように国民皆保険制度がなく身体障害者および低所得者のメディケイドと高齢者向けのメディケアという公的医療保険制度が設けられている。しかし、今回のようなメディケイドの患者を受け入れる歯科医師はこの州では16%しかなく、歯科医師を探すのが大変だったようだ。
米国では医療保険に加入していない国民は4660万人(16%)もいると言われ、公的保険の負担が増えれば増えるほど政府の財政が破綻していくというジレンマがある。

私も留学中は民間の保険会社の保険に加入し最低限の掛け金で治療を受けていたのを覚えている。幸いなことにカイロプラクティックの医学校に在校していたので病気になることも少なく助かったが、歯だけはどうすることもできなく何度か治療を受けた。
特に親知らずが悪化し手術を受けた経験がある。これも放って置けばこの少年のようになっていたかも知れない。

いまや米国に限らず先進国といわれる国々においても貧富の差が激しく格差社会をつくっているのが現状である。
私が暮れから正月にかけて訪れたインドもやはり貧困層が多く、おそらく医療すら受けることができない人たちが多くいるのが実情ではないだろうか。
その点、日本は国民皆保険制度があり国民の健康を保障しているが、財政・経済の悪化から医療費を払わない人たちが増え続け、国および医療機関に重く負担を強いられている。国民全員が同じ条件で治療を受けられるシステムをつくることは確かに理想であるが、現実はそう簡単にはいかないようである。
もっと医療制度を改革し国民が平等な医療を受ける社会になってくれることが、心身ともに豊かになり安心して生活できる環境をつくることにつながる。そうでないと日本も米国のような医療状況に追い込まれることを忘れてはいけない。
参考資料:産経新聞 イザ 医学処 HOT&COOL より

世相シリーズ(40)

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