日米双方の視点から描いた映画

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290.jpg 昨夜、レンタルビデオ店に顔を出した。そこに、つい最近日本と米国で話題になりアカデミー賞を受賞した『硫黄島からの手紙』がずらりと棚に並んでいた。

この映画はクリント・イーストウッド監督が日本の俳優渡辺謙を主演に起用し製作された戦争映画ぐらいにしか思っていなかった。ところが、実際『硫黄島からの手紙』のDVDを見て驚いた。それは、アメリカ映画なのに日本人俳優しか登場せず、アメリカ人はほとんど出てこなかったからだ。
それもそのはず、この映画はアメリカから見た硫黄島と日本から見た硫黄島を対象に2部作として作られ、1部作はタイトルが『父親たちの星条旗』で、2部作は『硫黄島からの手紙』であった。私は2部作である日本版を鑑賞したのであった。そのせいか敵方の状況が一切描かれず、何か日本映画を観ている感覚に陥った。
それに対して1部作はイーストウッド監督に加えスピルバーグが協力して、アメリカから見た硫黄島を製作したようだ。アメリカから見ると第2次世界大戦は民主主義国家が勝利した戦争であり、6人のアメリカ兵が硫黄島の激戦地であった摺鉢山の山頂に星条旗を立て、勝利したことを強くアピールし国民的英雄となった。しかし、実際には監督は映画の中では一人ひとりの兵士の生き様、戦闘場面をリアルに描き、兵士を英雄扱いにすることを拒んだ。
なぜなら、戦争は英雄をつくるところではなく両軍が戦場で殺し合いをした生々しいものであり、いかに戦争とは修羅場であるかを強く見せたかったからだ。監督は決して戦争映画にありがちなお涙頂戴の感動映画にせず、観客にあえて涙を流させないようにし、真剣に戦争の恐ろしさを考えてもらうようにストーリーをまとめ上げた。
そのため1部作は60億円、2部作は12億円の制作費をつぎ込んだという。今まで戦争は勝利することがいかに素晴らしいかを強調し英雄扱いをしてきた。
しかし、実際には敵を殺傷することは人間そのものの心を捨てることであり、結果的には戦争を経験した人たちにとって晩年は罪悪の念に苛まれ、残りの人生は苦悩に終わる人たちが多いという。この映画を全世界の人たちが鑑賞し本当の戦争の怖さを知り、尚且つ平和とはいかに大切であるかを感じて欲しいものである。
参考資料:法学館憲法研究所 硫黄島の歴史 PHP月刊誌「歴史街道」 より

Drの四方山日記(290)

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