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最近、日本の医療界も医師が過剰なのに医療行為を行う医師が不足しているという状況に陥っている。中でも産科・小児科・麻酔科の医師が年々減少している。その理由は過重労働や訴訟問題にあるようだ。どうも日本の医師は疾病を治そうとしても、病人を治そうと努力してないように思える。医療とは単に病気による苦しみを和らげ治療することが目的ではなく、全ての理性に基づいて行われる人間活動でなければならない。そのためには科学だけではなく、哲学が重要視されるべきである。
その哲学を持った医師が江戸時代の日本に存在した。その名は華岡青洲である。この医師は世界で初めての全身麻酔による乳がん摘出手術に成功した外科医である。麻酔と言えば西洋医学の特権のように思われているが、青洲は漢方の「通仙散」を完成させた。その麻酔薬を母と妻に試した。その際母と妻は麻沸湯(麻酔薬)の実験を自分たちの体を使ってやって欲しいと自ら申し出た。しかし妻に試したところ実験の副作用で視力を無くしてしまった。青洲はその後の人生を妻のために尽くした。その後、彼の医療技術が認められ、紀州藩主徳川治宝により侍医の要請があったが、青洲は「侍医につくと、庶民の診療ができなくなる」という理由で辞退した。そこで藩主は再度熟慮した結果、青洲が庶民の治療をすることを認めながら侍医として迎えた。藩主も偉いものだ。そして彼の名声は関西のみならず、日本全国に伝わった。その後診療所や医学校をつくり、多くの患者の命を救うとともに、門下生に医術を教えた。その数なんと1861人に上ったという。まさに東洋版「医聖ヒポクラテス」である。こういう立派な哲学を持った医師が存在したにも関わらず、現在の日本の医療界はまさに混迷を極めている。もっと昔の医師の考え方や理念を取り入れ、国民のための医療を目指して欲しいものである。
参考資料:TBSラジオ より
Drの四方山日記(402)
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