日本の最大企業であるトヨタやソニーなどのリストラや減収が報じられるとあたかも日本企業全体の不景気として取り沙汰されるようである。確かにわが国は景気が悪化していることは間違いないようであるが、日本企業全てが減収しているのではなく、実は増収している企業もあるのだ。その証拠に日本企業による海外企業買収が急速に拡大しているという事実をわれわれは知らなければならない。
円高騰による輸出企業が厳しい環境の中にあって、原価抑制で新製品に還元し、販売価格の改善などを背景に上方修正した企業も多くある。その代表的なのが日立製作所、住友金属工業、新日本製鉄、日清製粉などである。まさに、増収効果から前年度を上回る実績を上げている。世界経済の減速懸念は輸出数量の減少につながっている面が確かにあるが、逆に国際商品市況の大幅な下落から、収益に反映されるようなまとまった規模の原料の安値が国内企業に恩恵となっている。
先日、NHKスペシャルで「日米関係を様々な視点から見直す」と題するシリーズ第二弾を放映していた。その中で興味深かったのは金融危機に直面し、衰退していくアメリカ経済。そのアメリカ企業を買収しグローバル競争に勝ち抜こうとする日本企業が急増しているというものだった。その先駆けともいえるのが、東芝による原発メーカー・ウェスチングハウス社の買収である。またあの倒産したリーマンを野村ホールディングスが買収したというから驚きである。その他にもマスコミには名前は出ていないが、同じように買収している日本企業があるようだ。それを日本のマスメディアはきちんと報道しない。何か日本が不景気のどん底にいるような報道を行うこと自体に問題があるようだ。
われわれ国民にとっても円高は大きな恩恵となっている。その一つはガソリン、輸入食品、原料などの価格下落である。それを忘れてはならない。
世相シリーズ112
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