世相シリーズ: 2007年11月アーカイブ

S56.jpg 11月7日混合診療を受けたがん患者が保険診療分を含めた医療費が全額自己負担になるのは違法だとして国を相手取って訴えた。裁判で東京地裁は初めて厚生労働省の「混合診療禁止は違法」との判決を言い渡した。その理由は混合診療を禁止する法的根拠がないと説明した。そもそも混合診療とは保険が適用される保険診療に加え、適用されない自由診療を加えることを言う。今まで混合診療は安全性の面や貧富の差によって医療格差が生じると原則として禁止していた。日本医師会も貧しい人が限られた医療しか受けられないと強く反対したため、今まで実現しなかったようだ。ただ患者さんにとって何が利益なのか、もう一度考え直すところに来ているのではないだろうか。混合診療で一番問題なのは新薬の問題である。健康保険が適用されない未承認の新薬を使用して混合診療になることによって高額の治療費が必要になることが一番重要視されるのではないだろうか。すでに混合診療については歯科の分野で問題になっていた。ある歯科は患者のことを思い、新しい治療法を勉強しても、保険診療の枠の中では治療することができないと嘆く。患者さんにとって有効な治療法があり、丁寧に説明しても保険適用でないということを理由に断られてしまう。歯科の分野では保険点数が下げられたため、保険診療のみで生き残ることが難しいという歯科医側の事情もあり、自由診療のみの歯科医が増えているという。

わが国の医療制度は貧しい人でも適切に医療が受けられるようにすることを目的として、国民皆保険制度を採用している。これは国によって安全であると認められた薬や治療法を定め、その枠の中での診療は保険料によって治療費の大部分が負担されるしくみである。近年ではその枠は広がっているとはいえ、それは不十分であるといえる。米国や欧州で承認され世界中で使われている薬でさえ、条件が厳しく保険薬として適用とならない。問題は患者さんにとって如何に負担がかからず、保険診療が受けられるか、また自由診療を使って最高の「先進医療」を受けられるか国民は望んでいるのだから、国もきちんとした医療制度を早急に見直して実行すべきである。今回の判決が正当な混合医療を認めさせるきっかけとなることを願っている。
参考資料:東奥日報 読売新聞 産経新聞 より

世相シリーズ56

2009年6月

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