話題シリーズ: 2009年3月アーカイブ

W46.jpg 3月5日より始まったWorld Baseball Classic(WBC)も日本の劇的な勝利で終了した。3年前の初優勝に続いての連覇である。前回と違い今大会は早めに選手の選考を行い、合宿を重ね最終的に28名の代表選手を決めた。そのためチーム内での一体感も生まれ、心を一つにして試合に臨むことができた。

野球はどうも打撃のチームより投手力が優れているチームが強いということが、この大会ではっきりわかった。打撃中心の、ドミニカ共和国やキューバは早々に姿を消し、残ったアメリカやベネズエラも決勝ラウンドで敗戦の憂き目に遭った。その点、韓国や日本のように投手力もさることながら打撃もそれなりに力を出せる陣容を配したチームが強かった。まさに高校野球を思わせるドキドキワクワクさせる試合が多かった。

ただひとつどうもWBCはアメリカを勝たせるための方式であることは否めなかった。しかし世の中は思い通りに行かず、結果はうまくまとめ上げたバランスのいいチームが決勝戦を争った。前回と今回の2大会を見て感じられたことだが、なぜ同じチーム通しを何度も戦わせたのか理解しにくい。もっと南米やヨーロッパのチームと戦ってこそ初めて世界一の称号が得られるのではないか。そのほうが観る人ももっとエキサイトするのではないだろうか。

次回はなぜか4年後に行われるようだが、もう少しきちっと大会システムをつくり、選手の管理や公式戦に影響が出ない方法を用いて国別の世界大会にしてほしいものだ。ともかく今大会は日本の優勝で終わったのが、日本国民にとって最高の喜びである。
おめでとう侍JAPAN!!
W46b.jpg話題シリーズ46

W45.jpg    「おくりびと」がアカデミー賞を受賞してから日本中が沸きかえっている。皮肉なことに暗いテーマの映画が暗い時代に光を当てようとは誰が想像できただろうか。

本木さんが27歳のとき北インドのベナレス(ヒンズー教の聖地)へ訪れたときヒンズー教徒が死者を荼毘に付している状況を目の当たりにした。そのとき「生」と「死」のカオスを見た思いがした。20代の彼がその状況の中で"蛆の光"を見た。その思いが強く彼の心に焼きつき日本に帰国した。この思いを映画化したいと考えていた。そのときに出合ったのが青木さんの『納棺夫日記』であった。その後二人の間で親交が深まり、15年の歳月の後、今回の作品となった。

私が一番感じるのは、本の一節にある「職業に貴賎はない。いくらそう思っても「生」と違い「死」そのものをタブー視する現実がある限り納棺夫や火葬夫は無残である。昔でいえば河原乞食とさげしまれていた職業である。青木さんは30年以上も納棺夫として生き続け、社会の冷たい目にさらされる中でやり遂げた。一時叔父に親族の恥と罵倒されたこともあったという。それが今回の授賞で全てが報われた思いがする。

W45b.jpgこの映画は人と人の絆、家族の絆、死者と生者の関係、そんな当たり前のことを現代人は忘れかけていたことに気づかせてくれたような思いがする。他人を思いやる気持ちなど先進国の人々が忘れかけていた心をこの映画が気づかせたのではないだろうか。今アメリカはオバマ大統領の誕生でまさに変わろうとしている。そういうときだけにこの映画が国内外で高い評価を得たことは素晴らしい。またこの映画の原作者や監督が同じ富山出身というのも何かの縁ではなかろうか。青木さんと本木雅弘さんの今後の活躍を期待したい。
参考資料:納棺夫日記(桂書房)

話題シリーズ45

W44.jpg 先月28日(土)、診療を終えてから新幹線で伊豆に向かった。その際、車内で一冊の週刊誌を読んでいて「はっ!」と驚いた。それは先日アカデミー賞の外国語映画賞に輝いた「おくりびと」についての記事であった。この映画の原作本と言われる「納棺夫日記」の著者が20年前からの知り合いである青木新門氏であったからである。16年前に私のクリニックに来院されたとき、一冊の封筒を渡された。その中には一冊の本が入っていた。その本が今「時の人」ならぬ「時の本」である「納棺夫日記」であった。

青木さんとは富山に住む兄を通じて知り合った。その後青木さんが勤める冠婚葬祭会社の富山平安閣(現オークス株式会社)社長奥野博氏が私のクリニックで治療を受け元気になられ、それが縁で富山市に臨時のクリニックを設けた。その時いろいろとお世話をしていただいたのが青木さんである。社長からは「うちの青木はこれでも詩人であり、作家なんだ。」ということを聞かされた。確かに青木さんは信心深く、社会通念を持った方である。

私のクリニックに治療に来られたとき、何回かゆっくりお話しすることができた。そのとき冠婚葬祭に対する考え方や思想を熱っぽくお話されたのを今でも記憶している。その中でも感銘を受けたのは「生への執着を無くして、あらゆるものに対しいたわりと思いやりを持たなければならない」という言葉だ。青木さん自身そこまでたどり着くのに並大抵ではないご苦労があったことを、伺っているだけに言葉に重みがある。人間は努力しても報われる場合と、報われない場合がある。その違いは自分自身の強い信念と目的意識をしっかり持っているか否かである。ともかく夢であった小説家として認められたことは親しい人間として喜ばしい限りである。

話題シリーズ44

2009年6月

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