
世界の古代遺跡や貴重な動植物、価値ある文化遺産などを後世のために残そうと国連教育科学文化機関(ユネスコ)が、それらを「世界遺産」として登録している。その数が現在851件に達した。実は、そのうち危機にさらされている世界遺産が30件もあると言われている。
そもそも世界遺産を創設しようと考えたのは、1960年代エジプトのナイル川のアスワン・ハイ・ダム建設計画によってヌビア遺跡が水没の危機にさらされ、遺跡内にあるアブ・シンベル神殿を救済しようと国連が立ち上がったことが世界遺産の最初の取り組みとなった。
その後文化・自然・複合遺産などが登録され保全されてきた。日本でも現在14件登録されている。それが、ここ近年の自然災害(台風や地震など)や人的災害(戦争、都市開発、観光化によるものなど)で危険にさらされている。
あまりにも危機的状況が進めば遺産として価値がないとみなされ、世界遺産から登録が削除される。そのため、危機に瀕している世界遺産を守ろうと「危機遺産」が創設された。
現在、危機遺産に登録されているのが現在30件にのぼり、1982年宗教と歴史が絡み合った土地の帰属を巡る紛争と都市開発で「エルサレムの旧市街と城壁群」が破壊され危機遺産の第1号となった。それ以来も世界のあちこちで世界遺産が危機的状況にさらされている。1番ひどいのは1国で5カ所が登録されているコンゴである。その最たるものは国立自然公園で、96年250頭いたゴリラが半減し、30頭いたキタシロサイが4頭まで減っている。内戦や狩猟によって自然環境が破壊され、まさに人災と言える。
そんな中、私も過去に訪れたカンボジアのアンコール遺跡群が紛争や略奪、風化などで危機的状況に陥ったが、日本を中心とする30カ国が修復にあたり、危機を脱した例もある。
年々世界遺産登録が増加するのはすばらしいことかもしれないが、その反面観光資源や経済効果ばかりが強調され本来の目的である遺産を守って後世に伝えるということが忘れられているように思えてならない。
世界遺産として登録されたものの中には観光客の異常な増加によって地元民の生活が脅かされる状況に陥っているところもあるという。現代社会でも過去の歴史遺産を守り維持していくことは我々人間にとって大変なことでもあり、お互いの秩序を守っていかないと世界の宝とも言える世界遺産の保護・保全はかなわないのである。
参考資料:産経新聞 フリー百科事典 ALL About より
Drの四方山日記(416)